30代の転職活動は厳しい?難しい?成功するには?
「正直なところ、30代の転職って厳しいのでは?」
「若くてポテンシャルのある20代の方が、企業は採用しそう…」
転職を検討し始めた30代の方々から、このような声が良く聞かれます。新卒での就職活動や第二新卒での転職活動では、まだ仕事の経験が浅かった分、ポテンシャルを評価されることが多かったものの、30代転職となれば仕事経験がシビアに評価されて厳しいのでは、と不安を感じる人は少なくありません。
では、30代の転職は、本当に厳しいのでしょうか?結論から言えば、もちろん厳しい部分はありますが、そこさえ注意すれば、理想通りの転職を実現できます。事実、転職を成功させたミドル世代に実施した調査では、25%の人が理想通りの転職を「実現できた」と回答。つまり、4人に1人は希望を全て叶える転職を成功させています。
とはいえ、上図を見て頂ければわかるように、45%の人が理想通りの転職を「実現できなかった」と回答しています。約2人に1人が、転職はできたものの上手くいかなかったと答える要因とは何なのか、確認していきましょう。
30代の転職が厳しい・難しいと言われる理由
転職は成功したものの、理想通りの転職が「できなかった」と回答した方に、その理由を聞いてみました。
理由の1位は「入社後、会社の状況が変わってしまったため」が47%。ほぼ並んで次点は「妥協せざるを得なかったため」45%。そして「入社前の情報収集が不足していたため」が44%と、3位になりました。
1位の「入社後、会社の状況が変わってしまったため」について、具体的なエピソードを聞くと、
●入社直後に担当者が退職したため、入社時の職務内容と、実際の業務が大幅に相違した(男性)
●秘書の仕事がしたくて内定をもらった。しかし、実際セクレタリーの仕事は1ヶ月でなくなり、当初とは全く異なる仕事をすることになった(女性)
2位の「妥協せざるを得なかったため」について、具体的なエピソードを聞くと、
●転職活動が長期化し、収入面で苦しくなったため妥協して入社。しかし、入社後、予定していたプロジェクトが延期になった(男性)
●派遣社員から正社員になったものの、仕事内容が派遣の時よりずっと補助的。焦って雇用形態の安定を優先させた結果、仕事のやりがいを失ってしまったと反省しています(女性)
3位の「入社前の情報収集が不足していたため」について、具体的なエピソードを聞くと、
●「希望のポジションを用意しておく」「入社時の年俸は最低水準だから、それ以下になることはない」と聞かされていたが、実際は全く違った。第三者のアドバイスを聞くべきだった(男性)
●次の転職先を決めないで辞めたため、焦って企業研究が不足した状態で決めてしまった。何とか慣れてきたと思った頃、企業の業績不振により整理解雇になってしまいました(男性)
30代の転職では、それまでの経験が買われ、ある程度明確なポジションでの入社となるものの、不測の事態が起きることによって、状況が一変。理想通りだったはずの転職が、一気に様変わりしてしまうことが見て取れます。
また、金銭面の不安や、安定を求めて焦ってしまったり、転職活動中の情報収集が不足してしまったりすることで、本当は防げた失敗もエピソードから散見されます。転職を成功させ、理想通りに働くためにも、注意すべきポイントです。
30代の転職には何を求める?会社を決める理由は?
「こんな理由で、転職を考えるのは良くないのでしょうか」
「内定を複数取得したものの、どんな基準で入社する会社を決めたらいいかわからない」
30代の求職者からは、そんな不安の声も聞かれます。ここからは、同じくアンケート調査でわかった30代が転職に求める条件や、会社を決める理由を確認していきます。
30代が転職に求めるもの第1位は、「給与・待遇のアップ」が55%となりました。今の会社では、どんなに頑張って成果を出しても正当に評価されない、見返りとしての昇給がないといった声は多く、特に家族が増えたり、将来に向けて貯蓄などを始めたりする人が多い30代にとって、給与や待遇のアップは、転職する上での重要な条件となっています。
2位は「やりたい仕事ができる環境での就業」44%。着実にスキルアップしても、やりたい仕事への異動希望が通らないという人や、新たに挑戦したい仕事が見つかった人など、新たな環境でのチャレンジを30代のうちにしたいという声も聞かれました。
また、3位は「安定的・長期的な就業の確保」が43%。近年は、コロナ禍で起きたサービス業や観光業での休廃業が記憶に新しいですが、事業継続が困難な状況になりやすい業界から脱出したいという声は、さらに多くなっています。前述の「給与・待遇のアップ」と合わせて、収入の安定が大きな転職条件となっています。
30代の転職活動期間は?想定よりも長引く?
30代の転職活動期間は、どれくらいかかるかご存知でしょうか。
実際に転職した30代に聞いたところ、もっとも多かったの「3カ月程度」。全体の約4割を占めています。
Q. 転職活動(準備~入社まで)にかかった期間をお答えください。
一方、半年以上(1年、2年、3年~)と回答した方は合計31%となり、長引いてしまう方もいらっしゃいました。事前の想定と比べて「長引いた」という方も32%となり、念のため長期戦になる可能性は見越しておいた方が良さそうです。
Q. 転職活動期間は事前の想定と比べていかがでしたか?
想定より「長引いた」理由としては、「業務や待遇に対して妥協せずに臨んだ」というコメントが散見されました。そのほか、「多忙な中での転職活動で、一時中断をしていたから長引いた」、「転職サイトを変えてみたり、エージェントを変えたりした分、時間がかかった」、「内定をもらった会社を嫁ブロック(妻の反対)によって泣く泣く辞退したため、仕切り直した」など、様々なエピソードが寄せられました。
30代の転職で年収はどうなる?
ここからは、周りの友人や近しい転職経験者にもなかなか聞けない30代転職の「年収」についてご紹介していきます。年収が上がった人の割合や、金額について確認していきましょう。
Q. 転職を機に年収の変化はありましたか?
Q. 具体的にどれくらい変わりましたか?
転職によっての年収に変化があったか聞いたところ、転職によって「年収が上がった」と回答した人は、全体の52%。なんと全体の半数以上の人が年収アップと答えました。
具体的にどれくらい年収が上がったか、金額を聞くと「100~149万円」が25%と最多になっています。「50~99万円」アップは19%と二番目に多い結果に。採用市場において需要の高い職業、たとえばエンジニアやマーケティング職は、特に転職後に年収アップする傾向がります。改めて、自身の市場価値を知りたいという方は、まずは転職エージェントに相談してみると良いでしょう。
30代で異業種・未経験でも転職は可能?
結論から言えば、30代での異業種・未経験への転職は、可能です。
実際に、アンケート調査をしてみても、異業種・未経験での転職をしたことが「ある」と回答したのは、ちょうど50%でした。
Q. これまでに異業種への転職をしたことはありますか?
過去に異業種へ転職を経験した方へ、転職して良かったと感じたことを聞くと、1位は「知識やスキルを磨けた/身につけられた」。2位は「仕事の幅が広がった」となりました。
Q. 異業種に転職をして良かったと感じたことを教えてください
3位以下は「年収水準が上がった」、「経験を活かせた」、「経験やスキルを高く評価してもらえた」といった回答が続きました。
異業界側の企業としても、これまでの業界にはいなかった人材やスキル・経験を持ち込んでもらえるというメリットがあり、採用の門戸は広そうです。最初から無理かもと諦める前に、まずは思い切って応募してみることをオススメします。
30代のよくある転職理由
Q. 転職を考えたきっかけ・理由を教えてください。(複数回答可)
転職理由を聞くと、最も多かった回答は「会社の将来に不安がある」でした。2位には「会社の考え・風土が合わない」、3位は「キャリアアップのため」がランクイン。
特に近年、コロナ禍が続く中で、テレワークの導入やDX推進などに舵を切った企業がある一方、環境変化に適応しなかった企業とでは大きな差が生まれています。旧態依然とした企業に対して、将来の不安を感じて転職に踏み切る人は、今後ますます増えていくでしょう。
30代で転職する際の注意点
30代の転職は、厳しい面もたくさんあります。未経験職種へのハードルの高さ、家庭環境との両立など、30代にありがちな転職の注意点を、実際の体験レポートからご紹介します。
【未経験分野への転職は簡単ではない】
▼36歳アパレル店長が、未経験で医薬品メーカーの営業から内定取得。想像以上に大変だった転職活動の裏側。
https://mid-tenshoku.com/report/list-30/desc_5515/
▼食品メーカーの広報から、デジタルマーケティング職への転身。39歳・女性を支えたエージェントのフォロー。
https://mid-tenshoku.com/report/list-30/desc_5844/
【家庭環境との両立は大変】
▼「結婚を機にプライベートの時間も確保したかった」自動車メーカーから機械メーカーに転職した管理部門スタッフ(36歳)の本音。
https://mid-tenshoku.com/report/list-30/desc_5731/
▼「育休復帰後、ワークライフバランスと自分のキャリアの限界を感じた」39歳、医療系プロジェクトマネージャー。
https://mid-tenshoku.com/report/list-30/desc_5480/
30代の転職を成功させるには?
30代での転職活動で成功するために、やっておくべきことはあるか、転職成功者に聞いてみました。
Q. 転職活動に入る前にどのようなことをやっておくべきと思いますか?(複数選択可)
30代の転職活動で、事前にやっておくべきこと第1位は「職務経歴の棚卸し」でした。職務経歴が長くなってきた30代において、端的にわかりやすく説明できることは何より大事です。何をしてきたのか、成果は、どんなことを考えて仕事をしていたのか、期間は、と整理しておくことが何よりも大事な転職活動の準備と答える声が散見されました。
次いで、第2位は「希望条件に優先順位をつけること」。転職する上で譲れない条件は何か、逆に譲れる条件があれば、それらは書き出しておくと良いでしょう。仕事内容、給与・待遇、勤務時間、勤務地、裁量、社員の質など、多くの条件がある中で優先順位をつけておくと、転職活動で迷った時に立ち戻ることが可能です。
第3位は「家族の理解を得ておくこと」。近年、「嫁ブロック・夫ブロック」という言葉が多く聞かれるようになりました。これは、転職に対する家族の反対による選考辞退に関する言葉です。内定を取得してから家族に報告したら、大反対にあって転職を断念することがないよう、早いうちに理解を得ることが大事です。
30代の転職のよくある質問
【Q】30代の職務経歴書、書き方のコツはありますか?
【A】30代の応募者に対して、企業側が確認することは、まず即戦力としてどこまで適応できるかという点です。これまでの成果や獲得したスキルが、自社に入社した際に再現できるか。もし再現できなかった場合でも、早々に新たなスキルを獲得できるかという観点で、職務経歴書を確認しています。
そのため職務経歴書では、これまで経験した職務内容をただ羅列するだけではなく、応募先企業の仕事内容や役割に合わせたアピールポイントを強調して書くことがポイントです。
また、これまでの成果などに加えて、30代で求められるようになるのが、リーダーシップやマネジメント意識です。メンバーをまとめた経験や、組織課題の把握や改善の経験も合わせて記載することで、評価向上に繋がるでしょう。
【Q】30代で転職するなら「資格」はあったほうがいい?
【A】特殊な専門資格以外は、中途採用では選考にほとんど影響しません。
先述のように、30代での転職で求められるのは、即戦力としての実力です。求人職種の実務経験の方が優先されることは間違いありません。資格はあくまで加点要素。専門知識・スキルの証明や、取得のための努力のアピールとして考えましょう。
【Q】30代転職の壁、「嫁ブロック・夫ブロック」とはなんですか?
【A】嫁ブロックとは、男性応募者の妻による転職の反対による選考辞退のことを指します。同様に、夫ブロックは、女性応募者の夫による転職の反対による選考辞退のことを指します。
近年の調査では、嫁ブロックをされた経験がある既婚男性は、約4人に1人。30代で顕著に増えていきます。ブロックする理由については、「年収が下がる」ことへの懸念が挙げられます。転職をする前に、家族から反対を生まないためにも、事前に相談をしておくとよいでしょう。
【Q】では、家族に転職活動を応援してもらうにはどうすればいい?
【A】単身者の場合は、1人で決断をしていくことが可能ですが、家族、子供がいる場合は自分だけの都合で転職を決めることは難しいものです。
生活に支障はないか、将来はどうか、転居を伴う転職の場合は子供の学校はどうするのかなど、家族の理解と協力がないと嫁ブロック・夫ブロックといった反対の憂き目にあうことも。
大事なのは、事前に家族に相談すること。このまま今の会社で働くデメリットや、転職先で働くことのメリット、長期的な収入問題、これからの家族の暮らし方など、避けては通れない現実問題をきちんと話をすることで、理解と応援に繋がっていくはずです。
【Q】30代で未経験業界、未経験職種へ転職するには何が必要?
【A】未経験の業界や職種に転職したいと思った時に必要なことは、これまでの経験からの共通点や活かせるポイントを見つけて、アピールすることです。
特に即戦力が求められる30代では、未経験業界・職種への転職となれば教えてもらうという姿勢では採用されないでしょう。たとえば、自身がこれまで新しい仕事に就いた際の学んだ経験や、早く成長できたエピソードなど活かせるポイントを見つけることから始め、未経験でも早く即戦力に近付くことができると意欲的にアピールしていきましょう。