ベンチャー企業が、上場体制構築を一手に担う経理人材を求める

最近になって、IPOを目指すベンチャー企業が多くなっています。今年は新規上場企業数が2013年度の54社よりも増えると予想されており、70～80社が新たに上場する見通し。またそれ以外にも、近いうちに上場を検討している「上場予備軍」の会社もかなりの数にのぼっています。

ベンチャーキャピタルからの資金調達がしやすくなり、アーリーステージのベンチャー企業が事業を拡大しやすい環境が整ってきたことが、IPOが活発になっている要因としてあげられます。リーマン・ショック後にベンチャー投資から撤退していたベンチャーキャピタルが、景気回復を受けて再び資金を投資する動きに。加えて、コーポレート・ベンチャー・キャピタルなど大手企業もベンチャー投資に注目し始めました。これらの企業は自社事業との相乗効果・連携などを見据えて、積極的にベンチャーへの投資を進めています。

資金調達を実現したベンチャー企業は、積極的に成長への投資を行う傾向にあり、その一環として優秀な人材の獲得へも資金を投入するようになってきています。

IPOを控えた企業の増加を受け、上場体制の構築に関連した求人ニーズが高まっています。これまでは営業系やエンジニアへのニーズが中心でしたが、上場を視野に入れる企業が増えていることから、ここ半年は特に管理部門を強化するための採用が多くなってきています。
そのなかでもとりわけ増えているのは、経理の求人。上場が近づくに従い、株主や証券会社、監査法人などに対するやりとりが増えるので、特に数値周りに関する体制強化が必要となるためです。具体的なニーズとしては、1の部作成や、四半期開示の体制構築、決算早期化体制の構築など。上場実務や管理部門実務に関して、幅広いニーズがあります。

どこの会社も「プレイングマネージャー」が必要だと口を揃えています。ベンチャー企業のCFO・管理部長などの役割は、大手企業と大きく異なります。特に成長企業では人数も少なく、一人一人の業務範囲が広いため、マネジメント層も手を動かしてやっと業務が回るということも。また、経理体制構築の面でも、実務がわからず全体を見ることが出来ない人が担うことは難しいですよね。そういった理由から、自らプレイヤーとして動きながら組織を作っていける方が求められる傾向にあります。

その上で重視されるのは、経理の経験をベースとした幅広い業務経験。具体的には、財務や経営企画、法務、総務人事などの経験が求められるケースがあります。もちろん、必ずしも一人でその全てを担える人材だけが求められているというわけではありませんが、経理プラスアルファで強みのある方の市場価値は高いと言えるでしょう。加えて、会社によって異なりますが、連結決算の経験を持っている方は、海外展開を考えている企業からの評価も高くなります。

さきほどからお伝えしている通り、ベンチャー企業での業務は決して楽ではありません。上場準備もやらなければならないし、対外的な対応もしなければいけないし、時に幅広い管理部門実務を任されることもあるでしょう。大変ですけど、だからこそかけがえのない経験を得られると思います。そういった経験を求めている方は、ぜひベンチャー企業を検討してみてください。また、一口にベンチャー企業と言ってもアーリーステージだけでなく、ミドルステージやレイターステージの企業もあり、それぞれ環境は異なります。そういう観点から検討していただくことで選択肢も広がりますし、その中からご自身の目標とする姿に一番近づきやすい環境の企業を選んでいただければと思います。