2014/03/06up!
会計士のキャリアデザインは、可能性が広がる時代へ
市場の変化
働く人の意識の変化が、市場の流れを変えている
転職市場は全体的に活性傾向にありますが、会計業界・コンサルティング業界はどうでしょうか。
答えは、人員削減のあとにきた景気回復の影響を受け、大きく活性化に向かっているといえます。
監査法人においては2010年~2012年に大規模なリストラを行いましたので2011年~2012年は買い手市場となりました。しかし人員削減をしたあとの景気回復から、大量に採用する必要があり、翌年の2013年末の定期採用では完全に売り手市場になりました。現在も景気回復に伴う案件の増加によって求人が増えている状態にあります。
なお、当時のリストラは働く人の意識にも影響を与えました。資格をもった士業であっても「一生安泰」という考えは消え、大手監査法人、大手企業に勤めていてもキャリアに対する危機感は増しています。当時、勤め先の影響を受けた人ほど「自分のキャリアは自分で築きあげなければならない」という意識に変化しており、企業に依存しない働き方を求め、自身のキャリア構築のために自主的に新天地を求める動きが活発になりました。
自分のキャリアデザインを考える求職者が増えることによって、最近では、監査法人から事業会社、コンサルティングファームにキャリアチェンジするという方が増加しています。また、会計士の活躍をサポートする「組織内会計士ネットワーク」の存在も、キャリアチェンジ希望者増加の後押しになっているようです。
ちなみに、転職先として特に人気があるのは上場している事業会社。あと1年もすれば、IPO準備会社の人気も出てくるでしょう。
求人ニーズ
海外進出企業の増加によって求められる英語力と実務経験
転職市場のニーズとしては、やはり実務経験を活かすなら30歳半ばくらいの方が求められています。あるいはキャリアチェンジなら20代後半の採用意欲も高まってきています。日系企業がますます海外に進出しているため、海外の現地法人での採用意欲も高まっているようです。そのため、キャリアチェンジを望む方の場合、TOEIC800~850点ほどの英語力が求められるでしょう。
また、コンサルティングファームにおいては、実務経験を重視した採用が活発化しています。特にFASでは、コーポレートファイナンス・M&Aアドバイザリーの職種での採用が増えています。もちろん資格がなくても、投資銀行・銀行出身の方で、実務経験があれば採用しているようです。
求められる人物像
コミュニケーション力と語学力をもつ人材
いま会計業界への転職市場が求めているのは、コミュニケーション能力の高い方、そして語学力のある方です。
監査法人においては、資格があれば他の業界と比べて選考ハードル自体はそこまで高くはありません。むしろ、コミュニケーション能力に長けている方が求められる傾向にあります。極端にいうと実務経験が浅くても、公認会計士の資格をお持ちの営業出身者など、コミュニケーションに長けた方ならキャリアチェンジも可能性があるのではないでしょうか。
コンサルティングファームにおいては引き続き実務経験が重視されています。そのため、戦略コンサルタント経験者の方や、金融機関・銀行出身の方などのニーズも高まる傾向にあります。FASであれば、英語力のある会計士の方が求められます。
なお、比較的新しい資格である事業再生士を取得している方は、ニーズが増加してきた事業再生業務に携わるチャンスも増えてきました。その他にも、銀行折衝の業務が絡んでくるため、銀行出身者の方が求められる傾向があります。
アドバイス
ブレない志望動機を軸に、慎重に進めること
転職は、キャリア目標を達成させるための手段であって、目的ではありません。自分が何をやりたいのかを明確にしておくことが大切です。最近では、志望動機を重視する企業が多い傾向にあります。日本市場においては、転職回数が多くなるとマイナスに見られがち。何度も転職して経歴を重ねるよりも、どのような意志をもって入社を望むのか、という志望動機を明確にして、慎重な転職を心がけて下さい。
キャリアアップを意識している若手の方であれば、転職時期は1年後・2年後でも構わないので、早くからコンサルタントに相談することをお勧めします。質疑応答や、志望動機書の添削等もさせてもらっているので、自分にあったコンサルタントに出会うことが転職成功のポイントです。