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70「定年延長によるミドル・シニアの活用」について

アンケート実施期間 : 20191024日 ~ 20191030
有効回答数 : 130
82%のコンサルタントが、シニア活用の取り組みを行っている企業は5割未満と回答。
「人事制度改革」が必要だと感じているが、取り組みには至っていないケースも。
65歳までの雇用機会の確保が求められる中、企業は「ミドル・シニアの活用」についてどのような取り組みを行っているのでしょうか。コンサルタントにお伺いしました。

65歳までの定年延長に対し、ミドル・シニアの活用について取り組みを行っている企業は「5割未満」だと、82%のコンサルタントが回答。ミドル・シニアの活用について、制度改革などに取り組んでいる企業は半数以下という結果になりました。

行われている取り組みは「年齢軸にとらわれない人事管理 44%」「人事制度改革 35%」の順でしたが、今後訪れるだろう「70歳雇用」について、企業が感じる課題は「人事制度改革について検討しきれていない」が1位となり「人事制度改革」が必要だと感じているが、取り組めていない現状があるようです。

他にも「50代の採用において企業が求めること」「70歳雇用に向けた求職者へのアドバイス」なども伺っています。ぜひご一読ください。

Q1これまでに50代以上を採用する求人を扱った事がありますか?

ある:95%、ない:5%

Q250代雇用の動向について教えてください。

a)

Q1で「ある」と回答された方にお伺いします。直近、50代を対象とした求人は増えていると感じますか?

増えている:19%、どちらかといえば増えている:60%、どちらかといえば減っている:16%、減っている:5%

b)

a)で「増えている」「どちらかといえば増えている」と回答された方にお伺いします。求人が増えていると感じる企業タイプを教えてください。

中小企業:78%、ベンチャー企業:34%、大手企業:26%、首都圏の企業:23%、外資系企業:20%、首都圏以外の企業:13%、上場企業:10%、日系グローバル企業:6%、その他:4%
その他の回答
  • 医療関係(病院)の管理者クラス。
  • 建築、プラント系企業での施工管理。
  • 設立年数が30年経過していない企業。

c)

a)で「増えている」「どちらかといえば増えている」と回答された方にお伺いします。求人が増えていると感じる理由を教えてください。

若手人材の不足により、採用人材の年齢幅を広げざるを得ないため:58%、既存事業拡大に伴う、経験者募集が増えているため:43%、新規事業立ち上げに伴う、経験者募集が増えているため:35%、管理職が不足しているため:26%、海外展開に伴う、経験者募集が増えているため:16%、事業継承を行うための後継者募集が増えているため:13%、年功序列から成果主義へのシフトが進んでいるため:6%、その他:7%
その他の回答
  • 企業側が50代の使い方(言葉は悪いですが)がわかってきたから。
  • 経験豊かな人材に経営改善に近いことをお願いしたいと考えているため。
  • 年齢よりも高い専門性を重視する求人が増えているため。
  • これまでの知見をその企業へ汎用させるため。
  • ホテル、建築系は、特需的な背景もある。
  • 後進育成できる人材不足(手を動かしつつ後輩のフォローが出来る方)。

Q350代の採用において企業が求める人に共通する特徴を教えてください。

特定分野において高い専門性を持っている:64%、豊富な経験を活かして、短期間で戦力になれる:62%、豊富な経験から適切な判断能力がある:48%、マネジメント能力が高く、若手社員の指導ができる:42%、人脈を活かすことが出来る:29%、経営課題に基づき、解決に向けた計画を立てる能力がある:24%、豊富な経験からプラスアルファの能力を発揮できる。:21%、対外的な交渉力と広い視野がある:17%、人生経験を積んだ人間性で客観的な評価できる:12%、状況に応じて臨機応変に対応する能力がある:12%、安定した勤務が期待できる:11%、計画に基づき、業務を着実に実行・達成する能力がある:7%、帰属意識が高く責任感がある:6%、人に頼らず、与えることを優先できる:5%、その他:3%
その他の回答
  • 経営層とのコミュニケーション能力。
  • 給与面よりもやりがいを優先する。
  • 業界のパートナー企業や、クライアント先にも顔が利く。

Q4現在の転職市場は、50代雇用の流動性が高いと感じますか?

高い:14%、どちらかといえば高い:37%、どちらかといえば低い:39%、低い:10%

Q5Q4で「どちらかといえば低い」「低い」と回答された方にお伺いします。
低いと感じる理由を教えてください。

企業が50代の活用策を考えられていないため:59%、企業ニーズはありそうだが求人として市場に出ていないため:41%、50代求職者の自発的キャリア開発不足を感じるため:31%、企業の50代向けキャリア開発不足を感じるため:21%、年功序列によるぶら下がり社員が多いと感じるため:18%、正社員解雇規制が厳しいため:16%、定年延長で企業コストが嵩み採用自体が鈍化しているため:15%、50代が担っていた役割を若手など別世代が担い始めたため:11%、今後の労働力不足に50代の労働力がもっと必要と感じるため:11%、企業ニーズはあるが、扱える紹介会社が少ないため:8%、その他:13%
その他の回答
  • 求職者が転職活動方法を知らない。
  • 採用はしたいが、会社の現行規定が邪魔している。
  • 金融業界ではこの年齢層の人余りが顕著なため。
  • 組織の年齢構成や採用リスク回避などの意識が高い。

上記について、具体的なエピソードを教えてください。

  • 50代以上の人材活用に対して、給与体系、組織の構成、活用の検討と設計が十分に企業で検討されていないため、社外からの採用に至っていない。
  • 役職定年等50代で条件面が大きく変わる雇用形態をとっている企業も多く、中途採用で50代を採用する上で支障の一つ担っている。スペシャリストとして複線のキャリアを設けている企業がまだまだ少ない。
  • 農業や畜産業系の人材は高い専門性と経験値が必要とされる分野であるため、定期的にクライアントには提案をさせてもらっており、人事との話の中で「採用ニーズがありそう」という意見をお聞きする。人事サイドの反応も含めて、可能性はゼロではないが優先順位は低い。
  • 企業のニーズとしてはあるが、紹介会社などを使うことがなく、ヘッドハンティングやリファラルでの採用が多い。企業としてもシニア層の活用が限定的で、限られたポジションでしか採用ニーズがない。
  • 求職者がキャリアの棚卸しができていないため自信を持てず、再雇用制度に応じて留まってしまった。企業によってはセカンドキャリア支援プログラムがあるが、あまり機能していないようで、プログラムに応募すると退職希望者扱いの待遇にされそうになった。
  • 大手企業で早期退職制度を利用し、60歳を過ぎて初めて転職活動をした方がシニア世代にあった転職サイトやエージェントの選び方を知らずに、苦労されていました。若手と同じような転職活動をしたため、100社近く書類選考見送りになったと、落胆されていました。シニア世代には人づてや先輩からの紹介で、転職をする方も多い。

Q6バブル入社組の求職者の動向について教えてください。

a)

直近、バブル入社組の求職者は増えていると感じますか?

増えている:23%、どちらかといえば増えている:61%、どちらかといえば減っている:11%、減っている:5%

b)

a)で「増えている」「どちらかといえば増えている」と回答された方にお伺いします。求職者が増えていると感じる企業タイプを教えてください。

大手企業:64%、中小企業:45%、上場企業:28%、首都圏の企業:28%、外資系企業:22%、ベンチャー企業:15%、日系グローバル企業:12%、首都圏以外の企業:7%、その他:2%
その他の回答
  • 関西圏の企業。
  • 大手ホテル、大規模な総合病院。

Q7転職理由で多いと感じる理由を教えてください。

役職定年など、年齢による給与低下:58%、会社の方針転換による役割の変化:44%、会社の将来に不安を感じたから:28%、倒産・人員整理による勧奨退職:25%、介護など家庭の事情:21%、能力・実績が正当に評価されないから:21%、給与以外の労働条件がよくなかったから:9%、人間関係がうまくいかなかったから:5%、体への負担が大きいから:4%、その他:2%
その他の回答
  • 自身の人生100年時代に考えを馳せて、今が転職時と判断しているよう。
  • 早期退職制度。

Q8現在の65歳までの定年延長に対する企業の取り組みについて教えてください。

a)

ミドル・シニアの活用について取り組みを行っている企業は何割程度あると感じますか?

5割以上:18%、4割:12%、3割:25%、2割:19%、1割:14%、1割未満:12%

b)

ミドル・シニアの活用についてどのような取り組みを行っている企業が多いと感じますか?

年齢軸にとらわれない人事管理:44%、人事制度改革:35%、柔軟で多様な働き方への取り組み:34%、キャリアを自己選択できる制度:20%、能力開発支援:11%、その他:13%
その他の回答
  • 外部からの積極採用。
  • 前任高齢のため、その後継者というパターンが多い。

c)

上記について、具体的なエピソードを教えてください。

  • 既存の年功序列型の人事制度を改定し、新たなラインを構築した企業がある。管理職ラインではなくスペシャリスト枠を設けたことで、給与やポジション等で現有社員の不満が発生することなく採用、その後のポストが用意でき、社内の活性化に結び付いている。
  • 中小企業にて役職定年や、定年自体をなくす動きがある。特に、人材が不足している建設業界や医療業界は特に顕著に出てきている。
  • 以前は一律に年齢が高くなるとともにマネジメントをしないと評価されない仕組みだったIT企業が、年齢が高くても、マネジメントは苦手だが技術的な仕事はまだできるというタイプの方の活用や人事評価を行っている。
  • 建設コンサルタント会社の取り組み事例です。ノウハウ、知見がある方々の企業貢献性を鑑み、定年後の再就職先として子会社を用意。 週3~4日程度の勤務で、継続雇用を実施している。
  • 40歳代以上の社員向けのキャリア開発研修の一人当たりの受講回数が増えている。研修内容が労働市場における自分の価値を客観的に見つめるコンテンツになっている。
  • 定年を65歳、ないしは70歳に引き上げる企業もあり、そういった企業では50代での中途採用も比較的抵抗感が少ないように思われる。

Q9「70歳雇用の努力義務(※2020年に改正案提出)」について教えてください。

a)

今後訪れるだろう「70歳雇用」について課題を感じている企業はどの程度あると感じますか?

5割以上:31%、4割:5%、3割:6%、2割:7%、1割:8%、1割未満:25%、全くない:18%

b)

a)で「全くない」以外に回答された方にお伺いします。企業からよく聞く課題を教えてください。

人事制度改革について検討しきれていない:33%、年齢軸にとらわれない人事管理について検討しきれていない:24%、人件費などのコストが嵩む:23%、賃金体系の見直しに取り組めていない:22%、柔軟で多様な働き方について検討しきれていない:20%、年功序列による「ぶら下がり社員」の出現:17%、役職定年などの影響でミドル・シニアのモチベーションが下がる:15%、能力開発支援について検討しきれていない:12%、その他:3%
その他の回答
  • その方の都合で辞められてしまう可能性を否定できない(病気・死亡等)。
  • 年齢からくる健康面が心配で、勤務時間、勤務日が未知数。

c)

上記について、具体的なエピソードを教えてください。

  • 従来の定年を超えて採用を継続する場合、仕事の内容と評価及び報酬のスキームをどう整えて運用してゆくか検討できていない。また雇用される側の仕事や成果に対する意識やコミットメントのばらつきが大きくなる懸念が出ていた。
  • 業界リーディングカンパニーは、特に政府の意向に沿う形で対応しているため、経営層と現場でのニーズの相違も出てきている。低賃金で高齢ベテランを採用できるが、どうしても現場の抵抗もあるようだ。
  • 中小オーナー企業は既に65歳にこだわらず働ける環境を備えている先が多い。大企業は雇用延長しても65歳までが大半で従来からある人事制度や過去の慣習にとらわれており、ポストや業務の柔軟性に欠けている企業が多い。
  • 能力はあるし、後任もいないので定年後も活躍してほしいという要望の元、就業者も就業しているが、定年後の給与形態なども定まっていないため、曖昧な給与制度で就業されているが、本人としては、働けるだけマシということで文句は出ていない。
  • 能力的に高くても、頑固であったり多様性を認めなかったりする場合、後進の育成能力は低い。また、加齢による障がい(聞こえ難い、視野が狭い、細かなものが見えない、表現能力が古い、気が短い、大声、叱責等)が、求められる能力よりも問題となるケースが多い。

Q10今後訪れるだろう「70歳雇用」に向けて、人材紹介会社が抱える課題を教えてください。

  • 70歳雇用のための基本契約や選考フロー、入社後のフォローなどをクライアントにアドバイスできるような体制づくりが整っていない。
  • 求職者の年齢が高くなり、 各社コンサルタントが、求人企業・業界・職種以外に、求職者のライフプラン等に、適切なアドバイスが出来る知識と経験が必要であり、若年層のコンサルタントでは、人生経験から難しくなると予想されます。
  • 現状65歳以上でも可の求人は、基本的に嘱託社員での募集であり年収は低い。しかし、定年を越えて人材紹介を利用しようとする求職者は役職定年を迎える前の年収を希望しており、年収の温度差が生じる。
  • 健康問題です。実際に最近起こった出来事ですが、60歳半ばの金型技術者の顧問採用が決まって間もなく、誤嚥性肺炎に罹患し、数日出勤しただけで入院となりました。コンサルフィーの返金交渉・採用した役員の責任など、複数の問題が発生。健康問題は不安定要素であり、大きな課題となる。
  • 今後「70歳雇用」は確実に増えていくと思うし、そうあってほしいと考えますが、人材紹介会社として紹介料が取り難く、ビジネスとして成り立つかどうか危惧している。
  • 70歳雇用もそうだが副業など働き方が多様化している中、フルタイム正社員紹介がメインで一律のフィーを貰うビジネスモデルでは立ち行かなくなる。 想定年収に囚われない、価格設定などを検討する必要がある。
  • この世代の雇用について、紹介会社にお金を払って有料で雇用をしようとする求人は増えず、 求職者からお金を取って紹介をする紹介会社が出てくるのではないかと思い、求職者の立場を思うと危惧しています。

Q11今後訪れるだろう「70歳雇用」に向けて、求職者が行っておいた方がいい事を教えてください。

  • 人生100年と考えたときに、60歳定年のライフプランではなく、70歳まで現役で働くことができるように、 40代くらいで一度キャリアを見つめなおす必要がある。
  • 給与ダウンを想定した家計の見直し、体力・気力の衰えが具体的にどのように事象として現れているかの自己理解。
  • 雇用してもらうという感覚を早めに捨てておくこと。業務委託、プロとして単年で契約して成果を出せるかどうかを自分に問えるような姿勢でいること。
  • これまで培ってきたスキルをどのように活かしていくのかを、自身で具体的に考えそれに向けてスキルを伸ばすのか、汎用性を持たせるのかを考える必要がある。また、考え凝り固まってしまう印象が年齢が上がると強くなるため、汎用性や柔軟性を持たせる意味も込め、他業界など外の情報を取り入れること。
  • 「ピボット型キャリア」を選択肢に入れること。リカレント教育を受けることを含め、常に新しいことを吸収すること。
  • マインドセットです。子供ならまだしも孫のような世代に使われる際に、割り切ったコミュニケーションができるように気持ちの切り替えをできるようコントロールできるようにしておく準備。
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