転職コンサルタントの本音 各分野に精通する転職コンサルタントへのアンケートを集計!

108「引きとめ」について(2025年版)

アンケート実施期間 : 2025821日 ~ 2025827
有効回答数 : 230
6割強のコンサルタントが、「3人に1人のミドルが退職時に引きとめにあう」と回答。
引きとめ手段は「年収アップの提示」が多くなるも、転職を思いとどまる人は「1割未満」の声、多数。
今回は、転職活動における「引きとめ」のリアルについて、コンサルタントに伺いました。

「退職時に引きとめにあうミドルはどのくらいいるか」という質問では、「3割未満(およそ3人に1人以下)」と回答したコンサルタントが65%にのぼりました。

引きとめにあいやすいのは「後任が不在の場合」(65%)が最多。その際の切り札として最も多いのは「年収アップの提示」(62%)でした。
フリーコメントでは、「入社2週間前に米国本社から昇格の打診があり、提示された年収は国内の倍の4000万円だった」という破格の条件がある一方で、トラブルに発展したケースや、残留後にキャリアが停滞してしまったという声も寄せられています。

しかし、引きとめが功を奏すケースは少なく、半数以上(56%)のコンサルタントが、引きとめに応じて転職を思いとどまるミドルは「1割未満」だと回答しています。

その他、リアルな引きとめエピソードや、円満退職のポイントについても伺っています。ぜひご一読ください。

Q1
退職時、どのくらいのミドル層の転職者が引きとめにあいますか?

※設問によっては、端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。

Q2
引きとめにあう確率が高いのは、どのような場合ですか?

その他の回答
  • 企業側が自社離職率を下げたくない為

Q3
引きとめの手段として、よくあるものを教えてください。

その他の回答
  • 退職者の希望或いは不満を聴取し改善を提案する

Q4
引きとめにあったミドル層の転職者のうち、どのくらいのミドル層の転職者が転職を思いとどまりますか?

Q5
企業側からの「引きとめ」に関連して、印象深かったエピソードや、その理由について教えてください。

破格の好条件で引きとめられたケース
  • 入社2週間前に米国本社から昇格(バイスプレジデント)の打診があり、年収も国内の倍の4000万円となり専属秘書、個室、戸建て住宅などの供与があり内定辞退に至る。当方も喜んで同意した。
  • 外資系企業にてNo.2ポジションを務めていたA氏の実例
    A氏が退職意向を表明した際、A氏の直属上司である日本支社長が引きとめ交渉(年俸アップ等)に入った上に、USにある本社CEOもA氏の引きとめ交渉に加わり、破格の好条件(*)を提示してきた。(*:日本以外のアジア圏に新規参入してビジネスを開始出来たら、そのエリアの統括責任者として任命する、A氏の家族全員をUS本社へのトリップに無料招待する、等)
    その結果、A氏は、当方が提示したオファーレターを受諾せずに、現職に留まることを決意した。
話し合いで円満に残留したケース
  • 新卒で1社35年経験の方に、現職よりも高い年収でのオファーが出ました。退職交渉をなさったところ、現職の経営幹部から御本人が希望していた別ポジションへの異動提示があり、意気に感じた候補者様はそれを受諾し、定年まで同社でキャリアを全うすることを決断なさいました。
  • 保険会社の方で、営業部門(拠点)から本社の査定部門へのキャリアチェンジを願いを数回提出したが聞き入れられず、他社に活路を見出され、ご内定獲得をされたケース。上長の方に退職交渉を行うにあたり、他社では伸びしろ含めて評価された点を踏まえ再度異動申請をかけたところ、俯瞰して自身のキャリアを見つめなおした成果からか異動の実現が決定。もともと会社への不満はなかったことから、残留を決断された。
強引な引きとめやトラブルに発展したケース
  • 不動産会社にお勤めの方でした。その支店には、有資格者がその方1名しか居らず、その方が辞めてしまうと、その支店が潰れてしまうということになり、半ば強引な引きとめが社長によって行われました。「お前のせいで支店が潰れる。お前のせいで会社が損害を負う。ちゃんと責任を取れ」と毎日のように怒られてしまう状況になり…内定先を内定承諾後に辞退されました。
  • 法務の求職者の方で、上長が退職の申し出を受け入れてくれず、業務でも無視をされたり、改めて話し合いをしようとしても忙しいからと後ろ延ばしにされ…最終的にその上の役員や別の部署の上司には求職者自身から退職意向を伝え、無事に予定の入社日に成約企業にお入りいただきました。
引きとめに応じた後にキャリアが停滞したケース
  • ある物流企業にて勤務されている方で、引きとめで現職に残留したものの一度退職の意思をしめしたことがネックとなり、昇格レールからはずれてしまい、結局年収ダウンになり、再度転職活動を行うも下がった年収がベースとなる為一度目よりも待遇面が悪くなってしまった事例がありました。
  • 有期雇用の方で正社員としての転職が目的でした。退職を伝えた際に、今までは会社規定で正社員登用が不可能と言われていたにも関わらず正社員として残ってほしいと引きとめにあい、留まられる選択をされました。ところが子会社の全く別部署に飛ばされてしまい、専門分野でのキャリアから外れてしまい転職活動を再開される事となりました。

Q6
不当な引きとめ(ハラスメント)に遭遇したことはありますか?

Q.

「ある」と回答された方にお伺いします。どのような引きとめでしたか?

その他の回答
  • 退職交渉を行った会議室で長時間の軟禁
  • 年収とポジションを上げるという約束が口約束で、実際にはそのままだったというケース

Q.

その対処法を教えてください。

  • 退職代行のご利用提案をしました。
    ご本人様の退職代行のイメージが悪かったですが、「退職代行というものは本来退職交渉を行って上手くいかなかった方が利用するもので、最近ではそもそも退職交渉を自分で行わず、退職代行のみで退職交渉を行うという形でサービス利用をされていらっしゃる方が増えてしまったためイメージを良くお持ちでない方もいらっしゃいますが、今回の候補者様のケースは退職代行の本来の使い方ですので、サービス利用された方が良いです。」とアプローチ致しまして、前向きにご検討頂けましたが、結果は現職にも迷惑をかけられないというご本人様の責任感の強さにより利用せず終わりました。
  • ①退職の意思を明確にメール等エビデンスの残る形で行う。
    「〇日に他社で入社が決まりましたので、〇日までに退職させて頂きます。そこまでに引継ぎはしっかり行い、迷惑はかけません。」
    ②転職先の情報は伝えない
    ③相談ではなく、報告ベースで行う。
    ④どうしても受け入れてもらえない場合は法律の説明から第三者機関への訴えの用意がある事を示す。
  • 有資格者の場合で、どうしても退職を受理していただけない場合には一度登録の抹消をし、再度登録を行う。報酬や退職金のカットのリスク発生時には、退職の申し出時期をずらす。
  • 恫喝については携帯で録音する

Q7
なるべく円満に退職するためには、どちらがよりよいと思いますか?

Q.

その理由を教えてください

退職意向を示す前に、転職先を決定しておく
  • 転職活動をしている、という段階だと足元を見られる可能性や急にはしごを外される可能性があるため、次のキャリアをご自身の中では明確にしておいた方が、建設的な話し合いになるケースが多い。また、先に退職を決めてしまうと、活動できる時期にご縁のある会社で決めてしまいがちなので、必ずしも最適なキャリアチェンジにならないケースが多い。
  • 先に退職意向を示すのはリスクが大きい。
    転職先を決め、スパッと辞められる状況を作ったほうが心理的安全性も高い。
    また、転職先が決まっていることで引きとめが弱くなる、気持ちよく送り出してくれることも多い。逆に転職先が決まってないと、まだ迷っていると判断され引きとめられることが増える。
  • 退職意向を示し、それが受け入れられた場合に転職先が決まっておらず、無職期間が発生しているミドル(特に50歳以上)が結構いらっしゃいます。求人が合わない場合は結構深刻な状況に本人様が陥っています。
  • 転職先と入社時期を確定させることで、引きとめにあっても退職時期等の交渉の余地がなくなる為
退職意向を示す前に、転職先を決定しておかない
  • 転職先を決定していた場合、転職先にお断りの連絡をしなくてはいけないため、退職の意向を示してから転職先の決定がスムーズになる。

Q8
なるべく円満に退職するためには、どちらがよりよいと思いますか?

Q.

その理由を教えてください

退職理由は要点をしぼってシンプルに伝える
  • 詳細を伝えることで、不必要な代替案を出されてしまったりすることがあります。その後、断りきれず慰留することもよくある話で、多くの場合、「一度退職を考えた人物」として、経営層や、周りからも特別な目で見られてしまうことがあります。
  • 転職が決まり、入社企業名を伝えたところ、上司の嫉妬にあい、転職先へいやがらせのFAX(悪口を書いたもの)が送られ、取り消しになった方がいたため
  • ミドルの方は会社を思うあまりに「改善してほしい」といった気持ちも込めて全て伝えたがる傾向があるが、ご自身の中で結論が決まっており、去る組織において今後責任が負えない以上は建設的な意見として聞いてもらえないケースが多く、心労ばかりを感じるケースが多いため。
  • 不平不満をストレートに伝えると引きとめには合わないと思うのでそういう意味ではスムーズに退職を進められるが、いわゆる「円満退職」にはならない。いつどこで一緒に仕事をするかも分からないので、当たり障りない内容で伝える方が色々と角は立たない。
退職理由は全てをありのままに伝えて在職企業の納得性を高める
  • 詳細すぎなくてもよいですが、現職ではなしえないこと、転職先が決まって(社名は控えてもよいが)何ができるか、転職の意思があると繰り返し伝えることで、相手も諦める(納得する)ケースが多いです。
  • 腹を割って伝えた方が意向、本気度が伝わるため

Q9
なるべく円満に退職するためには、どちらがよりよいと思いますか?

Q.

その理由を教えてください

退職意向はどんな場合であれ、まず直属の上司に伝える
  • 上司の立場を考えればそうするべき。また、役員などの話がエスカレーションした時に話がこじれた際、上司が味方になってくれることもあるため。
  • 退職に関しては一般常識やルールを守って意向を伝えることで、在籍企業にもちゃんと常識を守ってもらう必要がある。こちらがアウトロー、イレギュラーなやり方で交渉しようとすると、話がややこしくなってしまう。
場合によっては直属の上司より先に、人事や上位役職者に退職意向を伝える
  • 直属の上司は人事や上位役職者も伝えずに説得期間や退職熱がさがるのを待ったりするため
  • 退職交渉の条件提示を出してくる、上位役職者と話した方がスムーズになることが多い。

Q10
その他、退職時のトラブルが減る対応があれば教えてください。

  • スムーズに退職交渉を進めるための対応としては、
    ・退職を申し出る際は、「相談」ではなく「決定事項」として伝えること
    ・退職日も会社側に委ねるのではなく、「次の会社の入社日が決まっているので、〇〇日付で退職したい」と自分で退職日の希望を伝えること
    ・次の転職先を聞かれても社名は絶対に答えない事
    相談として聞こえるような伝え方や態度で退職を申し出ると、相手は必ず残留してくれる可能性を感じるので、退職交渉に難航する原因となる。淡々と決定事項として伝えると相手もあきらめざるを得なくなる。
  • 退職交渉の際には、条件をあげるケースもあるかもしれない、ただその場合は、退職を伝えないと条件をあげてくれない会社で、今後下げてきたり、それ以上上がらないケースもあるので、どちらにしても、あなたのためを思っての会社ではなく、良い会社ではない。ブラックな企業(都合の良い企業)と伝えています。
  • 転職先企業の名前は在籍企業に絶対に伝えない。「その会社、いま業績悪いよ」「その会社からうちに転職してきた人多いよ」などありもしないネガティブ情報を吹き込まれる。
  • やはり、現職の悪口、愚痴を言うのではなく、現職に自分を育て教育していただいたことに、感謝しつつ、スキルキャリアアップを図りたい意向を、丁寧に伝えることが肝要です。
  • 辞めることを知ってるのは自分なのだから、引き継ぎ書など速やかに用意すること
    退職届を提出したら、退職を既成事実化させるために先手を打つ
    出社をいつまでと決めて交渉すること
    後任がいないのは会社の責任だと理解すること
    曖昧な態度が一番良くない
[ 本アンケートに関するお問い合わせ先:en-press@en-japan.com ]