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106「ミドルの異業種への転職」について(2025年版)

アンケート実施期間 : 2025430日 ~ 202557
有効回答数 : 174
71%のコンサルタントが異業種・異業界企業への転職を希望するミドル人材が増えていると回答。
特に活発なのはメーカー出身者の異業種転職。IT、コンサル、小売などへの転身が加速。
今回は「ミドルの異業種への転職」について、コンサルタントに伺いました。

まず、「直近、異業種・異業界企業への転職を希望するミドル人材が増えている」と回答したコンサルタントは71%。2023年同調査の72%と大きく変わらない結果となり、依然として高い関心が続いていることがわかります。

異業種転職を実現した転職者の「転職前」の業種で最も多かったのは「メーカー」(68%)。現場の業務改善・工程改善の知見を活かした業務改革系コンサルへの転身の例や、バックオフィス人材が原価管理の知識を活かして小売・流通業界へ転職したケースなどが挙げられました。この他にも、IT、サービス、物流などメーカーからの転職業種は多岐にわたるようです。

一方、「転職後」の業種では、「IT・インターネット」が62%で最多に。コメントでは金融系、小売・サービス系、コンサル系といった業界からの転身事例が目立ちました。その他、「市役所勤務からITエンジニアとしてDXにチャレンジ」という官→民のケースも見られ、幅広いバックグラウンドを持つ人材の登用が進んでいることが伺えます。

アンケートの最後では、転職を考えている方へのコンサルタントからのアドバイスもまとめています。ぜひご一読ください。

Q1
直近、異業種・異業界企業への転職を希望するミドル人材の増減は変化していると感じますか?

※設問によっては、端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。

Q2
異業種・異業界企業への転職を希望するミドル人材の希望理由について、直近増加しているものを教えてください。

その他の回答
  • 純粋な興味で見てみたいという意見が多い印象
  • グローバル対応でのニーズ増

Q.

その要因・背景を教えてください。

  • ①IT業界の事業拡大と給与待遇の上昇のニュースがあふれてきており、有形商材の業界・職種からIT業界への業界チェンジを考えている方が増えてきている。
    ②IT業界内にいる方は、競争環境が厳しくなる中で差別化できずに事業が縮小均衡・撤退となり、より事業を安定成長させており資金調達も順調な企業様への転職希望者も増えてきている。
  • 例えば自動車業界では電気自動車シフトなどにより、自動車部品により将来が不安な分野(エンジンに関わる部品など)について、同じ自動車業界で他の領域へ転職を志す方がおられる。
    また、管理系については業務効率化やAIまたは外部委託などにより、スキルのある方はより成長分野へシフトされる傾向がある
  • ①コロナ禍後の社会の構造、スタンダードの変化に対応できている業界とそうでない業界に二極化していること
    ②直近の物価高などが影響して、生活に困窮していたり、疲弊していたりする人が増えていること
  • 60歳超えても働かないといけない時代になり(年金早くて65歳受給のため)、定年以降も今の経験が活きる将来性のある業界を選ぶ傾向にある。

Q3
担当したミドルの転職者のなかで、異業種・異業界企業への転職を実現された方はいらっしゃいますか?

Q4
Q3で「はい」と答えた方に伺います。
異業種への転職を実現されたミドルの転職者の、転職前の業種として多い業種の上位3つを教えてください。

その他の回答
  • BPO業界
  • 会計事務所
  • 医療系事務
  • 受託検査
  • ホテル

Q5
Q3で「はい」と答えた方に伺います。
ミドルの転職者は、どのような業種への異業種転職が多いですか?上位3つをお答えください。

その他の回答
  • 環境系ベンチャー
  • IT関連
  • スタートアップ
  • 人材紹介業
  • 環境
  • ホテル

Q6
Q3で「はい」と答えた方に伺います。
異業種転職を実現されたミドルの転職者について、転職前後の業界の中で特に多い組み合わせや目立つ業界間の移動を教えてください。また、理由や背景についても教えてください。

  • ①ITとメーカーの相互間、②コンサルからメーカーへの転職
    【理由、背景】
    ①IT⇒メーカー:自身の経験を元に、所属企業(自社)貢献したい
     メーカー⇒IT:社内の閉じた中で得た経験をもとに、他領域に活動範囲を広げたい
    ②コンサル⇒メーカー:コンサルティングにおける物足りなさ(提案、検討の結果、成果を見られない)を感じて
  • メーカーから小売流通が多く感じます。例えばバックオフィス人材の場合、原価管理の知識を小売流通にも活かすことができたり、製造元の知識をエンドユーザーに届けることができるメリット等が考えられます。
  • 製造業・メーカー → コンサルティング業界
    現場の業務改善・工程改善の知見を活かして、業務改革系コンサルに転身。DX推進の流れで、現場経験者が求められている。
  • 医療機器から製薬への転職、自動車から半導体業界への転職が多く見受けられます。特に、電気・電子系の早期退職・開発部門の縮小、リストラなどが顕著に感じています。関税問題や外資企業の波によるものだけでなく国内技術の高齢化と衰退もよく耳にします。転職応募者が50代ばかりといった傾向になりつつあります。
  • 市役所勤務の方が、ITエンジニアとしてDXにチャレンジされたケースがある
    官公庁の業界特有の紙ベースでの業務を効率化したい意向がある方がいる
  • 金融業界から商社やサービス業への転職の取り扱いが多い。
    金融業界で役職定年等で収入ダウンした方々が転職を希望し、中小企業の商社やその他業界の企業で、金融機関で培った管理能力などを期待されて転職するケースが多い

Q7
Q3で「はい」と答えた方に伺います。
異業種転職を実現されたミドルの転職者において、希望する職種について教えてください。

Q.

異業種転職を実現されたミドルの転職者において、希望する職種がある場合、その具体的な内容を教えてください。

  • 同職種で異業界で通用する事例(希望)が多かった。
    ※営業職などで、エンタープライズセールス、経営層との商談経験、成績上位を常にキープなど、業界をまたいで経験が活かせる職種が多い。
    ※管理部門では、上場企業の経験や、ビジネス上流の経験、マネジメント人数などの、出身業界問わず評価される経験がある。その他、ミドルにおいては何かしらの接点や再現性がないと厳しいと本人も自覚があり、まったくの別職種を希望する人は少ない。
  • 企画・マーケティング職: 分析力、企画力、提案力などを活かしたいという希望があります。異業種での経験から得た新たな視点や発想を活かして、既存の枠にとらわれない企画やマーケティング戦略を立案したいという動機が多いです。
  • IT業界での社内外のマーケティング経験をコンサルファームで社外のクライアントに対して活かしたい。
  • 市役所での勤務経験をもとに、ITエンジニアとしてガバナンスクラウドなどを希望されている

Q8
Q3で「はい」と答えた方に伺います。
異業種転職を実現されたミドルの転職者において、希望する役職やポジションについて教えてください。

Q.

異業種転職を実現されたミドルの転職者において、希望する役職やポジションがある場合、その具体的な内容を教えてください。

  • 専門職 (スペシャリスト): 特定の専門スキル(例:マーケティング、人事、経理、法務など)を持つ方は、異業種においてもその専門性を活かせるスペシャリストとしてのポジションを希望することがあります。業界知識は入社後にキャッチアップすることが前提となる場合が多いです。
  • 管理職であるか否かについてはこだわりますが、最初から部長にこだわる方は少なく、かえってまず管理職(課長・係長から)で入社し認められた上で部長にならないと部下・社内がついてこないということを皆さんよく理解されています。
  • 転職理由が、役職を上げたいや、マネジメントしたいという方であれば課長→部長へ希望している方が多い印象です。
  • かなり人による。役職にこだわる人も多いが、適応力がある人は役職やポジションにこだわらない。

Q9
異業種からのミドルの転職者に対して、「採用企業が期待するもの」は何ですか?上位3つを教えてください。

その他の回答
  • 地頭、個人としての能力
  • 視座の高さ
  • 伝播力・範を示せる能力/影響力

Q.

その理由を教えてください。

「経験職種での専門知識・専門スキル」の理由
  • ミドルの採用は管理職候補であることが多いため、即戦力としての活躍が期待されていることが多い。
    そのため、業界経験は不問でも管理職候補として、当該ポジションの職種やスキル・マネジメント能力やコミュニケーション能力はよく見られている点。
  • やはり専門性を現場で発揮いただきたいという企業側の意向が強い。
  • 即戦力というものが業界職種経験の親和性を元になりたっているため。
「マネジメント力」の理由
  • ミドル層にはどうしてもマネジメントの役割を求めたくなる圧はある(各社ともマネジメント層が不足しているため)
  • これまでの経験を活かしながら、セルフスタータで活躍していただくことはもちろんですが、これまでの知見や技術を若手への育成(マネージメント)業務にも期待されている企業が多くあったように感じます。
「新しい環境でも主体的に動ける行動力」の理由
  • 事務研修後、OJTの必要が最小限で、即戦力として活躍いただくことを期待
  • やはり主体的に動ける人、そのような実績のある人、周りを巻き込める人が求められています。
    製造業は(技術・製造部門は別として)管理部門についてはこれまで閉鎖されてきたので、ここにきて人事・経理などの入れ替えが必要
  • 若手のマネジメント、育成に苦戦している企業が多いため、マネジメント力は求められる。
    一方でマネジメント専任というよりは、自身も背中を見せられる主体性が求められることも多い。
    また、どの会社も成長意欲、新しいものを吸収することに抵抗がない方を求めている感じがある。

Q10
ミドルの転職者が異業種への転職が出来ない理由は何ですか?上位2つの理由を教えてください。

その他の回答
  • 転職回数
  • スキルや知識ではなく、異文化組織になじもうとするスタンス
  • 成功体験、ビジネス経験など自身の経験を類似経験として応用できない人がいる
  • 自らの価値を客観視できないケースがありました。
  • 駐在でも、現法代表ならチャンスあり

Q11
求職者が異業種転職を検討するにあたり、注意すべき点を教えてください。

  • ■年収や待遇が下がることが多く求職者側が受け入れられないため。会社の成長、社員の定着、入社後のキャリアパスに着目してほしい。
    ■本人の希望と転職市場での市場価値にギャップがある場合
    求職者は、①顕在化しているスキルと②社歴の積み重ねが現年収であることを自覚するべき。転職先では②がないため評価が下がるのは当然。求職者は入社後に挽回すべきで、挽回が可能かどうかを案件ごとに見定めるべき。
  • 自身のキャリアを客観的に評価し、過度に期待値を上げすぎないことだと思います。長年同業界で働いているプロフェッショナルな方は、ご自身の経験・スキル・コネクションに自信がある方が多いですが、必ずしも異業種においても同様に評価されるとは限りません。場合によってはご自身が想像しているよりも、転職活動が難航したり、期待する条件が提示されない可能性もあります。
  • 異業種への転職では、企業様からすると(業界経験者に比べて)期待値は低く設定せざるを得ないため、年収ダウンも受け入れる必要があります。中長期的な目線で、自身のキャリア(待遇含む)にとってプラスになるかを考えると良いと思います。
  • 自身の市場価値と企業が求めている人物像やスキルに乖離があり、相場とのすり合わせが出来ないまま転職活動を行うことにより、マッチングがうまくいかない。その為、応募求人に対しては絞らず幅広く応募することが必要となる。
  • 現場に立っていただく必要が増えるので、マネジメントだけしたい人は要注意。現場に立つ覚悟が必要
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