転職コンサルタントの本音 各分野に精通する転職コンサルタントへのアンケートを集計!

104「ミドル人材の転職回数と転職成功の可能性」について(2024年版)

アンケート実施期間 : 20241218日 ~ 20241225
有効回答数 : 243
転職コンサルタントが気にする求職者の転職回数は、30代「3回目」、40代「3〜4回目」、50代以上「5回以上」。
一方、ミドル人材で「転職が初めて」という人でも「自己評価と市場のギャップ」に注意という声も。
企業が転職希望者を評価するポイントの一つとしてあげられる「転職回数」。ミドル人材の採用にあたって、企業は転職回数の多さをどのように捉えているのでしょうか。採用コンサルタントに伺いました。

まず、「ミドル人材の採用を検討する際、何回目くらいから転職回数を気にするか」について、年代別に伺いました。30代では3回目、40代では3回または4回目、50代以降では5回以上になると、転職回数を気にする傾向があるようです。

それでは、転職回数が多い方はどのような点を考慮すればいいのでしょうか。企業が転職回数の多い方を評価するポイントは、1位が「高い専門スキル:82%」、2位が「転職理由の納得性:63%」、3位は「キャリアの一貫性:56%」という結果に。転職回数が多くても、「さまざまな企業で経験値を高めている」「複数の社風や文化を知っていることで柔軟性がある」というプラスの見方をする場合もあるようです。

一方、ミドル人材で「転職が初めて」という場合でも、「年齢とともに新しい環境になじむのが難しいと思われがちで、前職と比較しがちだったり、ストレスの対処などに不安が持たれる傾向」「自身の経験・スキルと、実際の市場での評価にギャップが発生してしまう」という懸念の声も散見されました。

その他、転職回数が多い人の中で転職成功実績の多いポジション・職種・企業タイプや、転職回数が多い方向けのアドバイスなどをコンサルタントに伺っています。ぜひご一読ください。

Q1
転職を実現されたミドル人材のうち、転職回数が何回ぐらいの方が多いですか?

※設問によっては、端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。

Q2
ミドル人材の採用を検討する際、採用企業は何回目ぐらいから転職回数を気にする傾向にありますか。

Q3
ミドル人材の採用を検討する際、採用企業が転職回数を気にする理由を教えてください。

その他の回答
  • 情報漏洩などのリスク

Q4
担当したミドル人材の求職者で、転職回数が多い人の転職成功実績はありますか?

Q5
Q4で「ある」と答えた方に伺います。

Q.

ミドル人材で転職回数が多い求職者のうち、どのようなポジションでの転職成功実績が多いですか?

その他の回答
  • 役職に拘らない方
  • ポジションによる差はない

Q.

上記のポジションでの転職成功実績が多い理由を教えてください。

経営者・役員クラス
  • Job型で雇用されやすい特徴がある為。特に子会社社長やファンドの投資先案件では転職回数が多くても経営層の需要は高いと認識しております。
  •  
本部長事業部長クラス/部長・次長クラス
  • 組織をまとめ、成果をあげている人であれば、転職回数は優先順位の低い項目となるため。
  • ヘッドハントの対象となることが多い、およびスキルアップ意識の高い人材が多い。自分の腕に自信がある人材も多い。
課長クラス/主任・係長クラス
  • マネージメントというよりは、ハンズオンでプレイヤーとして就業いただけるため
  • プレイヤーであれば、短期離職リスクは低減できるため
役職なしのスペシャリスト
  • スキルのみで転職しているため、マネジメントを任されている方はそこまで多くないように思います。
    また年収においてもスキル評価のため、スペシャリスト枠での採用のほうが給与形態からみてもストレッチをきかせやすいため。
  • 役職付きの場合は対人スキルが必須だが、技術職としてのスペシャリストであれば現場で自身が手を動かすことが最重要事項となるため。
  • 個で実績を上げることができるため。その実績をもとに、全社のオペレーションを改善できるため。
  •  

Q.

ミドル人材で転職回数が多い求職者のうち、どのような職種での転職成功実績が多いですか?

その他の回答
  • トレーニング・教育

Q.

上記の職種での転職成功実績が多い理由を教えてください。

技術系
  • プロジェクト型の仕事の仕方をする機会が多い職域なので、転職回数が少なくともプロジェクト回数は多い人もいる。一方で転職回数同様プロジェクト回数が多い人もいる。そうした働き方があり得るという認識のもと、スキルや技術を優先的に考える傾向があるためと見立てております。
  • 採用ニーズが高く、企業側も人手不足に困っているため、スキルがあれば採用を検討すると考えている企業が多いため。IT系職種に関しては、転職回数が30代で3~4回と複数されている方も一定数いるため、企業側もあまり重視していないと考える。
経理・財務・会計系
  • 経理部門においては経験値が増える程スキルが醸成される傾向にある為、理解している企業様は転職回数関係なくご採用されることがある。
  • 経理はどの企業も人材不足であること。転職回数よりも経験重視で見る企業が多い。
営業系
  • 営業の場合は商材が合う合わないがあり、職歴の長さや実績などを加味して判断してもらえる点がある為
  • その候補者を採用することで明確な利点がある場合が多いため。営業なら、その人を採用すれば売り上げが見込めるようなケース。
経営企画・事業企画
  • 経営企画や事業企画の場合、会社が新たに事業を行うことを検討している際に募集が出るポジションの為、転職回数よりもピンポイントな経験・スキルを求める傾向にあるので、成功実績が多いように感じます。
  • IPO等の役割勘案、上場後或いは上場断念後の転職に理解があるものと思われる。
コンサルタント系
  • 経営者との折衝には経験が必要であり、転職回数が多いことは経験とみなすことができる方が一定数存在するため。
  • そもそも転職率の高い業界であることと、複数での企業経験が自身のバリューアップに繋がる業務であるため。
サービス・流通系
  • 他職種からの転職であっても、これまでの経歴がサービス業においても活かせることを実績をもってアピールしやすいため
  • サービス系は「ホテル業界」を指しているが、新しい施設が出来るたびに大規模な人材移動がある業界なので、実力を兼ね備えた方であれば、転職回数はむしろ勲章になっている場合もある。

Q.

ミドル人材で転職回数が多い求職者のうち、どのような企業タイプでの転職成功実績が多いですか?

その他の回答
  • 大手エンジニア派遣の会社
  • 上場準備中の企業

Q.

上記の企業タイプでの転職成功実績が多い理由を教えてください。

  • 大手・上場企業は転職回数で足切りをしている場合が多いため。一方で外資系企業は「転石苔を生ぜず」をプラスの意味でとらえており、また中小企業や地方企業は転職回数での足切りをしてしまうと母集団の形成が困難になるため、転職回数はフィルターとならない場合が多いため。
  • ベンチャーのCxOクラスは経験重視な傾向があり、社数を気にするところは少ない感覚。外資系企業には転職で年収を上げ続けているタイプの人が多く、転職回数の多さが日系企業ほどマイナスにとらえらず、むしろ意欲的な人物と思われやすいため。
  • 短期間での成果を求める傾向にある外資系やグローバル企業であればフィットする可能性があるかと思います。また、IPO準備中の企業ではフェーズによっては転職回数が多くても成功する場合があると認識しています。
  • 大手はあまり例外を受け付けず、中小、ベンチャーはまだ整っていない中で、整えるために実績を作れる人材を欲しているため。

Q6
ミドル人材で転職回数が多い求職者を選考する際、採用企業はどのような点を評価しますか。

その他の回答
  • 性格や在り方
  • 人柄・熱意

Q.

上記の理由を具体的に教えてください。

高い専門性を有している
  • 転職回数が多かったとしても、各企業でスキルを磨いてさえいれば需要があるため。逆に、転職回数が少なくても任されている業務範囲が狭い場合は内定に至らない。
  • IT開発経験などはスキル取得に時間がかかるため、転職回数が多少多くても採用されている印象を受けます。
  • 英語スキルがある方は比較的、企業は寛容である傾向があります。
  •  
転職理由に納得性がある
  • 退職理由が明確であり、誰が聞いても腑に落ちること。この理由であれば仕方がないと思えれば、退職回数についての不安は解消され、あとはどのような歩みをしてきたのが問題であり、スペシャリストかゼネラリストの見極めだと思いますので。
  • 「転職軸」がぶれていない方の場合、「転職理由」が納得のいくもの、致し方ないものであれば、問題ないため。
  • 転職理由では親の介護や結婚などの生活環境上の動機については企業も理解しやすい
  •  
キャリアに一貫性がある
  • 転職を繰り返しても、同一業種、職種であれば様々な企業で経験値を高めたという見方をされる場合がある。また同一企業で10年以上の勤続年数があれば、ストレス耐性がないわけではないとみてもらえる場合がある。
  • 直近、直近ではない場合でも、同職種の5年以上の経験は、評価されている印象です。
  • 同じ職種で一貫していることが大切に思います。色々な職種を経験されていると、地方等でよほど企業が採用に苦戦していない限り難しいです。
  •  
在籍した企業で十分な実績がある
  • 会社の名刺で仕事をせず自分の力で仕事を成し遂げた経験が必要です。
  •  
その他
  • マネジメントスキルや業界知見をベースに推進力を見る企業が増えていると感じているため
  • 特に、成績をどの環境でも一定以上出している方は評価されやすい
  • 建築系(設計・施工管理など)の業界・職種では、業界的にどこも人手不足であることから、ミドル~シニア層の求人も他業界に比べて多く、この業界に関しては求職者も転職回数が他業界に比べて高い傾向にあるため、トータルでの設計/施工管理の経験年数の長さや対応物件の規模が一定以上であれば専門性を持っている求職者として比較的転職回数は少し多めでも面接の機会を頂ける可能性が高い。
  •  

Q.

ミドル人材で転職回数が多い求職者に対して、アドバイスがありましたら教えてください。

  • レジュメにすべての企業・業務内容を記載する。ただ、応募職種の場合は、要点を絞って、即戦力人材とわかるように具体的に書く。(関係のない企業だからと記載を省くと、通過率は下がります。すべて具体的に書きすぎると、経験がぼやけますが、どんな企業でどういったことをしているか2行くらいは記載したほうが企業ウケは良いです)転職理由は、「キャリアアップ」だけではなく、なぜキャリアアップしたかったのか、現職ではキャリアアップできないのか、など背景もエージェントには素直に伝えてほしい。エージェントに建前だけを話すと、その後のフォローもできないし、エージェント活用ができていない。
  • 転職理由をきちんと履歴書・職務経歴書に正直に記載して下さい。健康面から離職した場合も正直に記載ください。年収面の不安、上司とのトラブル等からの転職は、採用側の悪いイメージを作りますので、書面では記載しない方が良いです、とアドバイスします。
  • マインドセットが大事。なぜ転職を繰り返すのか、自身の棚卸しが大事。その上で、キャリアの棚卸しを行い、強みを活かした転職先を探すこと。自身の強みを必要としている企業でなければ採用にならないことを知っておくと書類作りも変わってくる。
  • 複数の社風や文化を知っていることで柔軟性があることは、ある程度アピール材料になると思います。例えば40代で初めての転職となると慣れ親しんだ環境とのギャップで悩むことも多く、ある程度の「転職慣れ」はアピールできると思います。
  • 「広いがそこまで深くない、ある程度のスキル」が合う業界もあれば、「この分野では深いスキルがある」という人物を求めている業界もあるので、ご自身の経験、スキルをしっかり棚卸してアピールできる方向性を見極めていきましょう。
  • 転職が成功するパターンもありますが、かなり稀である事は認識いただいた方が良いと思います。特に大手やメガベンチャーなど転職難易度が高いとされている企業には転職回数が多くなればなるほど、書類選考が通りにくくなるのが実情です。転職媒体に登録していると、エージェントや企業さまから魅力的なお声がけをいただき揺らいでしまう場合もあるかと思いますが、繰り返すうちに見向きされなくなってしまい後から後悔される方が多いのが実情です。本当に転職する必要があるのかを自問自答してからの転職をおすすめします。今のマーケットなら副業などで別の企業の力になる事も可能なので。

Q7
逆に、ミドル人材で「転職が初めて」という求職者に対し、採用企業が懸念する点を教えてください。

その他の回答
  • 前の会社を常に話に持ち出しそう
  • 現職残りへの不安
  • 企業が必要とする経験、専門知識、技量(実績)を有しているか。
  • 経験に再現性があるのかがわからない。

Q.

上記の懸念点について、理由を具体的に教えてください。

新しい環境への適応力に不安がある
  • 特に大手企業から、規模感の小さくなる企業へ転職の際に、環境の変化、その環境下で再現性が得られるのか、仕事の成果への懸念が出てくるため。
  • 経験が邪魔をするとよく言いますが、年齢とともに新しい環境になじむのが難しいと思われがちで、前職と比較しがちだったり、ストレスの対処などに不安が持たれる傾向です。
  • 1社でしかやってきていないため、上記についてはコミュニケーションスキルとして、面接(一次)で柔軟にやっていけるかどうかを見られていることが多いと思います。
  •  
自社の経験に基づく固定観念が強い
  • 想定年収が高すぎたり経験が限定的だったりします。市場感から大きく乖離した発言をする等固定観念が強く思われがちです。最近は情報を調べても自分の趣味嗜好性に合わせた情報がレコメンドされてきてより思考が偏る傾向にあります。
  • 1つ会社に長く在籍していると、「前の会社ではこうだった」などと固定観念が強くなってしまっている方が比較的多く、それで採用を失敗した企業などは慎重になりやすい。
  • ミドルまで転職をしなかった方は変化を好まない傾向にあり、新しい環境での適応能力や考えや行動に変容を起こすことができるかに懸念点を持たれる企業が多いから。
  •  
自分のスキルや経験に対する自己評価と、市場での評価にギャップがある
  • 年収と経験のギャップについては、日本企業の大半が年々年収が上がっていく給与体系・構造のため、極端な話、特に良い経験をしていなくても勝手に高い年収になってしまうことから、中途採用市場においてはギャップが発生してしまうケースが多い。
  • 特に大手企業や外資の場合、同じ職場の年収感、スキルレベルと市況感のギャップが大きいように感じます。
  • 大手からの転職者に多いが、スキルが狭い割に高い給与をもらっており、中小企業では通用しないことが多い
  •  
経験の幅が狭く、トレンドや変化に対する視野が限られている
  • 希望年収、希望職種が求人ニーズと合致していないことが理解できないことが想定されること。要因として、自己評価が高すぎることや柔軟性が低いことがあげられる。
  • キャリアチェンジを伴う転職の場合、転職が初めてであること自体より、これまでの経験が次のポジションで活かせるかがシンプルに求められている。
[ 本アンケートに関するお問い合わせ先:en-press@en-japan.com ]
転職コンサルタントの本音「「ミドル人材の転職回数と転職成功の可能性」について(2024年版)」毎月1000人の転職コンサルタントのアンケートを集計。コンサルタントに中途採用の実態を調査。採用活動などから転職成功へのヒントをご紹介。