JICA(独立行政法人国際協力機構)|総合職 ※採用予定人数20名以上

JICAで、ルワンダ全土の「水衛生」問題に挑む――元化学メーカー勤務、30代所員が抱く志

公開日:2025/06/26更新日:2025/06/26
求人掲載中

JICA(独立行政法人国際協力機構)による「総合職」募集が開始へ。20名以上の大規模採用を予定する。今回の募集に伴い、ルワンダ事務所 所員として働く山口翔さん(35歳)を取材した。もともと化学メーカーにて勤務していた山口さん。JICAでルワンダ全土「水衛生」問題に挑む――。

  • 事業企画
    総合職(日本と開発途上国が共に発展・共創する未来を創ります)◆海外赴任あり/年間休日122日
    国際協力機構
    400万円~699万円北海道、宮城県、福島県、茨城県、東京都、神奈川県、石川県、長野県、愛知県、兵庫県、広島県、香川県、福岡県、沖縄県、中国、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インド、その他アジア(ベトナム、ミャンマー等)、北米(アメリカ、カナダ等)、中南米(メキシコ、ブラジル、アルゼンチン等)、オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド等)、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、ロシア等)、中近東・アフリカ(モロッコ、エジプト、UAE、南アフリカ等)、その他の海外
    気になる

国際社会を舞台に、より「インパクト」のある仕事を

前職、化学メーカーで勤務していた山口さん。接着剤部門における予算管理、損益計算などの経理・財務領域でキャリアを築いてきた。転職を考えた経緯、そしてJICA入構を決めた理由とは――。

前職ではスキルを磨きつつ、アメリカにある子会社、生産工場で働くなどの経験ができ、仕事内容にも満足していました。一方で、20代のうちに一通りの経験をさせてもらうことができ、達成感があったというのも正直なところ。国際社会を舞台に、よりインパクトが与えられる仕事に挑戦してみたい、さまざまな関係者をつなぐ役割を経験したい、そういった「新しい目標」が生まれるようになっていました。

ちょうどそういったタイミングで見つけたのが、JICAの社会人採用の情報でした。もともと大学時代、学生NGOに所属しており、フィリピンのインフラが整っていない地域で活動するなど国際協力に興味がありました。とはいえ、JICAでの仕事内容や働き方、活動など知らないことも多い。そこで、JICA所員の方を知人経由で紹介いただき、直接話を聞くなどしていきました。話を聞くなかで、まさに私が挑戦したい領域でしたし、「培ってきた経理・財務領域のスキルが国際協力の分野でも活かせるのではないか」と可能性を感じて応募し、入構を決めました。

1

ルワンダ事務所 所員 山口翔
日本の化学メーカーで経理・財務、各種事業の損益管理等を経験。その後、2019年にJICAに転職。現在、ルワンダ事務所にて水衛生、保健・栄養のセクター担当、及び、経理、総務、人事、ブルンジFOサポート等、事業系から事務所運営に至るまで様々な業務に対応。

  • 事業企画
    総合職(日本と開発途上国が共に発展・共創する未来を創ります)◆海外赴任あり/年間休日122日
    国際協力機構
    400万円~699万円北海道、宮城県、福島県、茨城県、東京都、神奈川県、石川県、長野県、愛知県、兵庫県、広島県、香川県、福岡県、沖縄県、中国、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インド、その他アジア(ベトナム、ミャンマー等)、北米(アメリカ、カナダ等)、中南米(メキシコ、ブラジル、アルゼンチン等)、オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド等)、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、ロシア等)、中近東・アフリカ(モロッコ、エジプト、UAE、南アフリカ等)、その他の海外
    気になる

持続的な「安全な水・衛生サービス提供」を目指して

続いて聞けたのは、現在のJICAでの仕事内容、そして「やりがい」について。

現在は、JICAルワンダ事務所の所員として勤務をしており、主に私自身が取り組んでいるのは水衛生、保健・栄養のセクター担当です。日本政府における国別協力方針でも、ルワンダに対して社会サービスの向上、「安全な水・衛生サービスの持続的な提供」支援は打ち出されており、重要なテーマの一つとなっています。

特に、ルワンダの首都キガリ市は人口増加や都市化により、2050年までに人口が約3倍近く増えることが想定されています。そういった中、大きな課題となるのが「水需要の大幅な拡大」です。いかに安全な水を持続的に提供できるか。そのための仕組みやインフラをどう構築していくか。さまざまなプロジェクトを推進しています。

私が携わった案件の一つとして「有償資金協力による浄水場案件」があります。都市部の中でも特に人口増加・都市化が顕著だと予想される「新しいエリアに浄水場を立ち上げよう」というアイデアのもと、日本として資金協力した場合、ルワンダ政府に十分な運営維持管理能力があるのか。浄水場の設計や事業費の見積もりはどうか。周辺の自然・社会環境への負の影響はないか。さまざまな観点から慎重な検討や調査が必要とされます。JICAの有償資金協力はルワンダの水衛生セクターにおいて初となる取り組みですが、私自身はその実現に向け、ルワンダ政府やJICA関係部、日本政府との度重なる協議を経て、本格調査の立ち上げを担いました。こういった重要なプロジェクトに携わっていけることが、JICAで働く何よりもやりがいだと思います。

2

現地保健省のカウンターパートの方と技術協力プロジェクトの専門家の方々と山口さん(画像左)。担当業務について「事務所でのやりがいの一つは現場でのニーズを踏まえられることですね。また、関係者との様々な協議を経ながら、相手国の質の高い成長、人間の安全保障を実現していく、そういった新規案件形成に携わることができます。」と話す。

  • 事業企画
    総合職(日本と開発途上国が共に発展・共創する未来を創ります)◆海外赴任あり/年間休日122日
    国際協力機構
    400万円~699万円北海道、宮城県、福島県、茨城県、東京都、神奈川県、石川県、長野県、愛知県、兵庫県、広島県、香川県、福岡県、沖縄県、中国、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インド、その他アジア(ベトナム、ミャンマー等)、北米(アメリカ、カナダ等)、中南米(メキシコ、ブラジル、アルゼンチン等)、オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド等)、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、ロシア等)、中近東・アフリカ(モロッコ、エジプト、UAE、南アフリカ等)、その他の海外
    気になる

挑戦を応援してもらえる、JICAならではの組織風土

さらに「挑戦を応援してもらえる組織風土」もJICAで働く大きな魅力だと山口さんは話す。

JICAで働く醍醐味は、一筋縄ではいかない状況を目の当たりにしながらも、現場でのニーズを踏まえ、改善のために直接的に取り組める点にあると思います。JICAのリソースや強みを最大限活かしながら、関係者との様々な協議を経て、相手国の質の高い成長、人間の安全保障を実現していく。まさにJICAでこそ取り組める仕事だと思います。

また、私自身大きな魅力だと思うのは、取り組みの自由度が高く、さらにその挑戦を応援してもらえるJICAの組織風土です。例えば、「ジャイカサンドボックス」(※1)という新規事業提案制度があるのですが、私のアイデア、事業企画が採用され、今まさに実証実験事業として取り組んでいます。

具体的には「アフリカ産の濾過器をモバイルマネーを通じたリース販売でルワンダの家庭に普及させる(※2)」という事業案なのですが、ルワンダ事務所の上長や周囲の方々から「これは面白いね。やってみよう」と背中を押してもらえました。本格的に実行していく際には、JICA本部の財務部、国際協力調達部、地球環境部など多くの部署のみなさんからアドバイスをもらうことができました。例えば、現地リソースの活用という観点から「JICAとして直接的に濾過器を家庭に販売するのではなく、現地メーカーをコンサルタントとして雇い、協業していくスキームのほうがいい」という助言をもらうことができました。そういった助言のおかげで、さまざまな壁はありつつ、プロジェクトとして動かすことができました。こんなにもたくさんの人たちが親身になり、快く協力、応援してくれる。それが心強かったですし、JICAならではの組織風土だと思います。

ちなみに当初、配布していく濾過器は20~30台程度の小規模な展開を考えていたのですが、200台規模にまで拡大できました。その200台の濾過器は継続的に利用してもらえるのか。カーボンクレジットなどを活用し、濾過器そのものの価格を下げられないか。さらなる事業や課題解決につなげられるよう、引き続き取り組んでいければと考えています。

(※1)ジャイカサンドボックスについて
新規事業提案。共創を促すコミュニティ機能+革新的なアイデアをスピーディーに実験する場

(※2)山口さんが手掛ける新規事業案
「アフリカ産のセラミック濾過器をルワンダの家庭に普及させる」取り組みについて(↓)


▼課題
ルワンダの地方部ではハンドポンプや井戸水さえなく、水源が乏しい地域が多く、水道水が通っていない。そのため川や湖の水を飲み水として使用している住民が多い。しかし、川や湖の水は水質が悪く、飲むことで病気を引き起こすことが課題に。特に下痢症などの水因性疾患が多く、子どもたちはこれが原因で栄養失調や慢性的な下痢に苦しみ、結果として脳の発達にも影響を及ぼすことも。一般的には煮沸消毒を行うことで大腸菌を除去できるが、煮沸に必要な「薪代」が住民にとっては高額(食費の2日分に相当)。一方で診療所での治療費は保険適用で安価で済むため「お腹を下しても診療所で治療を受ければいい」と考える住民が多い状態を課題として捉え、新規事業を考案した。

▼解決のための取り組み
大腸菌や不純物を除去できる濾過器(セラミック製)の家庭普及を提案。約200万円の予算で濾過器を200個導入、海外協力隊とも連携し、地方部で濾過器を配布した。価格は1台3000~4000円程度だが、住民にはモバイルマネーによるサブスクリプションモデルの支払契約を導入。契約前に1か月間の無料キャンペーンを実施するなどし、住民の95%が濾過器を購入・契約へ。実施後アンケートでは「水因性疾患の改善が見られた」という回答も得られている。

▼実施時の工夫・ポイント
■「モバイルマネーによるサブスクリプションモデル」は隣国ケニアにおけるスタートアップ成功事例を参照。同事例は、電気が通っていないケニアの地方地域の住民にソーラーパネルを販売し、1日50円程度の少額をモバイルマネーで自動引き落としの仕組みを採用しているというもの。この方法により住民は2~3年かけてソーラーパネル代金を支払い、電気が日常的に使える環境となった。同ビジネスモデルに着目し、ルワンダでの濾過器普及に応用した。

■ルワンダにおける文化や社会的なルール、慣習に詳しい現地メーカー/コンサルタントと協業。「コミュニティモビライゼーション」を重視し、住民への啓発活動を実施。他のプロジェクトでも似た啓発活動経験があるコンサルタントと連携し、週に1回程度開催される「集会」にて村長経由で製品の利点、水因性疾患の解決につながる点などを住民に伝え、導入推進を図った。村長の意見が重視されるルワンダ文化への理解によってスムーズ化を図った。

■同事業は、現在も実証実験事業として継続中。住民が実際に返済を行なっており、どの程度の割合で返済が完了するのか検証中となる。その結果を踏まえ、さらなるスケールアップを模索する予定。もしほとんどの住民が返済できれば、濾過器メーカーが同ビジネスモデルを採用し、自分たちで事業を展開していく可能性もある。有用性を示す結果データを集めると共に、より深いニーズ、需要の検証へとつなげていきたいとする。

3

井戸による水汲みの様子を実際に調査する山口さん(左側・画像奥)。やりがいの一方で事前に知っておくべき厳しさについて「言うまでもないかもしれませんが、異動や転勤などが多いですし、日本とは全く異なる環境、途上国で暮らす覚悟や準備は必要だと思います。」と山口さん。「例えば、ルワンダでは停電が頻発し、地方部ではお湯が出ないことは当たり前。インフラも整っているとは言えません。また、災害時や緊急時にはお互いの助け合いが大切になるので日頃からの関係構築も大切です。」

  • 事業企画
    総合職(日本と開発途上国が共に発展・共創する未来を創ります)◆海外赴任あり/年間休日122日
    国際協力機構
    400万円~699万円北海道、宮城県、福島県、茨城県、東京都、神奈川県、石川県、長野県、愛知県、兵庫県、広島県、香川県、福岡県、沖縄県、中国、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インド、その他アジア(ベトナム、ミャンマー等)、北米(アメリカ、カナダ等)、中南米(メキシコ、ブラジル、アルゼンチン等)、オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド等)、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、ロシア等)、中近東・アフリカ(モロッコ、エジプト、UAE、南アフリカ等)、その他の海外
    気になる

ミッション遂行と共に、自分が「ワクワク」できる仕事を

取材後半に聞けたのは「仕事を通じて実現したいこと」について。

まずは自身が担当している案件をしっかりと推進し、成果につなげていければと思います。少し長期的な視点だと、現地に「強い組織を作る」ということに挑戦していきたいです。現地スタッフが主体的に意見を述べたり、行動したりすることで、まわりにも良い刺激を与え、プロジェクトにも大きなインパクトをもたらすと考えています。もっと言えば、受益先である途上国の人たち自身に高いモチベーション、そして「主体性」「リーダーシップ」「組織力」があれば持続的且つインパクトのある活動にはつながっていくはずです。いかに人々が自律的に働く環境づくり、人材育成、持続的な組織形成などできるか。より専門的に学びたいと考え、私自身、2025年度の秋より1年間、海外大学院にて学ぶ予定となっています。そこで得た知見を、将来のJICAプロジェクトやJICA内の現地スタッフ、日本人所員にも還元していきたいです。

最後に、山口さんにとっての「仕事」とはどういったものなのか。仕事に対する価値観について聞くことができた。

自分、相手、組織、その3つの「実現したいこと」が重なり合う部分こそがやりがいのある「仕事」だと捉えています。前職時代を振り返ると、どうしても「組織として実現したいこと」に比重があり、特に「自分が実現したいこと」から少し距離があったのかもしれません。一方で、JICAは、自分の興味や関心があること、実現したいことにどんどん挑戦させてもらえる環境です。そしてコミュニティへの貢献、JICAが掲げるミッションである「開発協力大綱の下、人間の安全保障と質の高い成長を実現」という、まさに自分、相手、組織の「実現したいこと」が重なり合っている感覚があります。もちろん、国際協力や国際貢献という大きな目標の中、仕組みを作り、多くの人々に納得してもらいながら事業を進めていくことは簡単ではありません。ただ、困難であるからこそ、どう解決していくか。それぞれがうまく噛み合い、物事が前に進んでいく瞬間はとてもワクワクします。そういった仕事への向き合い方を大切にしながら、多くの人々を巻き込み、一つずつ課題を解決し、世界や社会に貢献していければと思います。

4
  • 事業企画
    総合職(日本と開発途上国が共に発展・共創する未来を創ります)◆海外赴任あり/年間休日122日
    国際協力機構
    400万円~699万円北海道、宮城県、福島県、茨城県、東京都、神奈川県、石川県、長野県、愛知県、兵庫県、広島県、香川県、福岡県、沖縄県、中国、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インド、その他アジア(ベトナム、ミャンマー等)、北米(アメリカ、カナダ等)、中南米(メキシコ、ブラジル、アルゼンチン等)、オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド等)、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、ロシア等)、中近東・アフリカ(モロッコ、エジプト、UAE、南アフリカ等)、その他の海外
    気になる
最近ご覧になった求人に基づいたオススメ求人